昭和の鉄道員ブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS 【794】 キハ91の模型から実車のディテールを知る

<<   作成日時 : 2017/05/08 06:30   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 48 / トラックバック 0 / コメント 10

自分が馴染んだ車両の模型を買うことが多い私は、その車両の特徴が表現されていれば納得し、そうでないとがっかりします。3月末にK社から発売された「キハ91系急行きそ8両セット」は、その逆で、模型から実車の特異な部分や、先行試作車と量産試作車の差異を知ることになりました。
画像

「キハ91系急行きそ8両セット」は、馴染んだ車両には違いないのですが、なにぶんにも短命な車両で、廃車後相当年月が経ち、活躍した期間も、自分の小学生〜高校生時代であったことで、雑誌に書かれた解説など文章で得られた知識も、実際に見たり乗ったりして納得したわけでもない部分が多い車両でした。
画像

今回製品化されたのは、先行試作車キハ90 1のエンジンと変速機を換装改造したキハ91 9と、量産試作車キハ91 2,3,4,5,6,7に、キサロ90 2を加えた8両です。キサロ90 2は冷房車ですが、製品化されたキハ91は全車非冷房車です。
画像
左がキハ91 9です。運転室窓ガラスの独特な形状とともに、上端部は青い色付き。 客用ドア付近の塗装の違いも的確に表現されていました。
ジャンパ連結器はユーザー取付の別パーツでしたが、全体が赤い軟質プラ素材で、あまりに目立ちすぎましたので、ケーブル部分を黒色油性ペンで着色したら落ち着きました。
(密着自動連結器の下に付属する電気連結器パーツは中間車では運転に支障する可能性があるので、キハ91 9には取り付けていません。)
画像
屋根上にあるラジエター先端部にある、日本髪でアップにしたような円弧状の飾りグリルの形状も作り分けられています。キハ91 9のほうだけ、上が弦状の直線になっているのが上の画像でわかります。こういう違いは、私が実車では全く気付いていませんでした。

実車のキハ91のうち、今回模型化されていないキハ91 8だけは冷房付で新製され、2〜7は冷房準備工事だけを施工して新製されたということです。
実車の屋根を下から仰ぎ見ると他の急行形気動車には見られないラジエターの存在は気が付きますが、真上から実車の屋根を見たことはありません。下の画像くらいの角度で、なんとかわかるのは、パッと見がユニットクーラーのようにも見える8個のラジエターの電動放熱機が配置されていることです。
画像

冷房準備工事がされている量産試作車には、隣接する電動放熱機の間に7個の冷房装置取付予定部分にフサギ板があることが表現されています。そして冷房準備工事がされていない先行試作車からの改造車キハ91 9には、それがないこともわかります。このように実車ではわからなかった部分も、模型は教えてくれます。下の画像は左がキハ91量産試作車(非冷房車)・右がキハ91 9です。
画像

キハ91には、運転室助士席側に排気管があるのですが、それとは別にキハ91量産試作車(非冷房車)には洗面所側車端部にも小さい排気管らしき表現があり、画像では見にくいですが連結面左側に出っ張りが表現されているので、これらは冷房化されたときの冷房用発電エンジンの排気管と配電盤用のスペースでしょう。冷房準備工事がされていないキハ919にはそれらがありません。そして後部の飾りグリルの形状も、やはりキハ91 9だけ上が弦状の直線になっています。
ここにユニットクーラーが付いた冷房車キハ91 8の屋根上は、機器だらけで足場もない状態になっていたのでしょう。その違いをK社の模型で味わってみたくなります。

屋根の両端部には、飾りグリルに隠れるようにガーランド形ベンチレータがあります。狭いスペースに閉じ込められていますが、ここから導入される外気は、夏場など熱風ではなかったのかと心配になりますが、まあ窓が開きますからどうでもよかったのでしょうかね?

ここで181系気動車と比較してみますと、屋根上にラジエターを備えたキハ180とキロ180の屋根上には、キハ91非冷房車と違ってユニットクーラーがありますが、逆にキハ91にある電動放熱機がありません。
画像

キハ180とキロ180では、エンジン冷却方式がまったくの自然通風だけになったのかと思えば、そうではなくて在来の気動車同様に床下に強制通風式のラジエターが取り付けられたのだそうです。下の画像で上がキハ180、下がキハ91量産試作車の床下です。
画像

なるほど、キハ180の床下中央付近には、キハ58系に見られるようなラジエターと吸気口が見えます。そしてキハ91の床下には、それがなく、中央やや後寄りに機器がない空きスペースがありますので、ここが冷房用発電エンジン用の空きスペースなのでしょう。
参考までに、キハ181系では先頭車キハ181に屋上のラジエターがありませんが、重量増を抑えるため運転室後ろの機器室内に強制通風冷却方式のラジエターを備えているとのことです。

こんなことで、実車でよく理解できていなかったことが、この模型からわかりました。書物で得られる知識や理屈でわかっていることも、実車を見ないと理解できないことがあります。けれど実車がこの世になくて直接確認ができないだけでなく、使用期間が短く使用範囲もせまくて、詳細な画像などを見て納得できる機会が少ない中で、この形式が模型化されたことによって、いろいろ学ぶことになりました。そして設計した方の想い、お守をした機関区の検査掛、操う運転士、乗務した車掌など、関わった人々のお話もいっしょに聞けたなら、よりいっそうキハ91についての興味が深まることでしょうが、伝わっていかない細かいことは、いつの世でも、またどんな世界でも、歴史のなかに埋もれていってしまうのでしょう。
キハ91系については3月に【780】中央西線を走った車両3: キハ91系気動車で、わずかですが現役時代の様子を書いていますので、興味がある方はご覧ください。


◎今回の記事では鉄道ピクトリアル誌1993年12月号を参考にしました。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 48
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
しなの7号様 こんにちは。
キハ91 9はバタ臭いデザインであると同時に381系のような『しもぶくれ』な印象もすごくあるのですが、KATOのこの模型を見る限り、前面のデザインなどはおとなしくスリークな感じを受け、ある意味KATOらしさを感じました。きっとこれが実車に忠実なのでしょう。
モデルカーでは特徴を強調するために相当なデフォルメをしていました。自分の描いた図面は、『デフォルメが足らん!』とよく上司に言われていましたので、もし自分がキハ91 9を担当したならば、相当ふくれっ面の前面で運転席窓もかなり垂れ下がり、テールライトはひどく寄り目になったことでしょう。ちくわ製作所のものがどんな風になるかが楽しみですが、現在お待たせ状態らしいです。。

しかし、先頭車7両にキサロ1両というある意味すごい組成のセットですね。グリーン車を2両に増結する方も多くいらっしゃると思いますが、自分はキサロを2両にする代わりに、サハシ455を気動車急行色に塗り替えて、妄想車キサハシ90として組み込んでみたいです。
やくも3号
2017/05/08 13:38
やくも3号様 こんにちは。
鉄道車両に限ったことではありませんが、お見合い写真でイメージができてしまうと、実車を見たら印象と大きく違っていたなどということはよくありますね。模型化する場合、実車を見る角度とは違うし、個々のパーツとのバランスで、どこにどの程度のデフォルメをするかは、設計者のセンスなのでしょうね。先頭車の窓は、どうしても太く表現されてしまうHゴムの押さえとのバランスは重要だと思います。より精密化を求めるあまり、手すりパーツを別パーツにするなどして全体のイメージを崩してしまったモデルに出会うこともありますが、私はそういうことがないK社製品に見られる全体的なまとまりの良さには、いつも敬服しています。
現在、うちのキハ91系はスチール棚の最前部に、貨物列車群に混じって特別出演展示中ですが、キサロを境にキハが同一方向を向いて連なっているのは壮観です。キサロ90を1両+キハ91を5両で6両セットとして、単品増結用でキハ91とキサロ90が設定されるとよかったと思うのですが、セット売りだけにしたのは営業面での判断でしょうか?
「サシ481・489→スシ24」の改造が実車であったのですから、模型の世界なら「サハシ455→キサハシ90」をでっちあげても不自然な感じはしませんね。(中央西線では運用できないでしょうけど)
しなの7号
2017/05/08 17:02
 こんにちわ

 キハ91系、KATOの新製品ですね。
 私はキハ58系気動車が機関区からいなくなった時、
初めて鉄道模型を買いました。
トミックスのキハ58系が始まりで、その後、自ら携わった
車両を買い集め、今ではすっかり、押し入れの肥やしになってしまいました。

家庭を持ちしばらく止めていましたが、子供のプラレールを買い(トーマス以外、全て国鉄車両)子供も大きくなって(子は鉄には無関心)、2年前、地元で381系が居なくなって、再び始めることになりました。

 話がそれて、すみません。
キハ91系は、エンジンパワーがあり勾配ではいかんなくその実力を発揮したと思います。ただ、キハ181系同様、従来のエンジンとか異なるため整備性が悪く現場での評判は良くなく、普及には至らなかったですね。
キハ58系でも平坦線では急行としての速度は出せたからでしょうか。キハ91とよく似た、キハ65の逆転機が不調で構内入換でも苦労していました。

 165系電車と並べて走られても面白いかもしれませんし、実現しなかった列車を再現できるも模型ならではの楽しみですね。
クハ381-111 
2017/05/10 13:42
クハ381-111様 こんばんは。
私も国鉄で実車に乗務しているうちは模型には手を出さず、国鉄退職後になってから乗務した車両を買い集めた口ですが、長く段ボール箱で冬眠したままでした。その間に次々とリニューアル製品が出てきて、旧製品を多数処分しました。
現場では不評で短命だったキハ91系でしたが、キハ65など後発の気動車にその技術は活かされたそうです。キハ65の逆転機の件は、以前にも運転士様から、折返し時に前進表示灯が点灯した時の安堵感について書いていただいたことがあります。
キハ91の全体的なスタイルは、165系電車に通じるものがありますね。幹線系の急行を想定すればモハ164に相当する運転室がないキハ中間車があってもいいなあと思いますが、そういう想像も模型世界のならではです。
しなの7号
2017/05/10 20:08
 しなの7号様、こんにちは。
我が家にも待望のキハ91系が新製配置されました。この系列私は見たことがなく試作車故に資料等も少なく謎の多い系列でしたが、独特の外観に魅力と興味を感じK社の発売予告とともに予約しました。さすがに赤のジャンパケーブルは違和感があり艶消し黒のマーカーで塗装しましたが、本当に良く出来た模型だと思います。キハ90改の919と量産試作車の違いや屋上機器の配置など手に取ってつぶさに見ることが出来るのはモデルならではの楽しみですね。キハ58系モデルチェンジ車やキハ65、その後の系列に受け継がれなかった後退角の付いた優しさを感じる前面はキハ91ならではで魅力的です。
 数々のこの車両たちに関わった方々の想いを聞いてみたいという気持ちもありますが、30年の節目のこの4月は「勝てば官軍」の元JR幹部のコメントばかりで公平さに欠けていました。スポンサーの批判は出来ないマスコミの現状を思うと「経済的言論封鎖」が進んでいるように見え、何だか怖くなってきました。
門鉄局
2017/05/11 14:46
門鉄局様 こんばんは。
やはり皆さん、今回の模型では私と同じような楽しみ方をされておられるのでしょうか。中央西線という東京から見ればマイナーな線区の車両たちが、近年K社から新旧取り混ぜてこれだけ模型化され信じられない思いですが、ついにキハ91系まで登場するとは、Nゲージを始めたころには考えもしませんでした。
日本の鉄道の大きな節目の年を迎え、さまざまな立場から国鉄に関して「今でこそ言える」的な出版物がもっと出てもいいように思いますが、そういうこともありませんでした。そういう世に移ったのでしょうし、それに対する危機感も覚えます。
しなの7号
2017/05/11 20:10
こんばんは。
模型から実車を偲ぶ。
それだけ模型が精巧に作り上げられるようになったのですね。台車が干渉してオプションのトイレ流し菅の位置がズレるのは模型の世界で致し方ないことですが.....。
そういえば3枚折戸はデザインの観点から採り入れられたのではなく、引き戸にした場合、戸袋が台枠に干渉するからなのですね。
キサハシが出現していたらどんなメニューが出現したのか考えてしまいました。信州そば、飛騨そば、きしめん、天むす91.....。根の上そばを提供出来ればカレチさん御用達となったかも。
NAO
2017/05/12 00:19
NAO様 こんにちは。
昔の模型で表現できなかったことが改良されてきて、実車を偲べるだけでなく、自分の中では模型は実車がいたころの鉄道の背景も脳内再生できるものになっています。雑誌で得る知識も、活字で理解できない私のような者でも、模型は教えてくれますし、逆に模型を眺め、たとえば折戸になった理由なども調べていけば、国鉄の設計現場と営業と保守管理する側とのやりとりなども想像がついてきますが、そういう業務に直接あたった方々のそれぞれの立場からの話も聞きたくなってくるものです。ただ、私は知識を得ても、あっという間に忘れてしまって蓄積されないのが情けないです。
中央東線にあって西線になくて、その格差を感じたのが急行のビュフェ車でした。名古屋は田舎ですので、大阪発着の「ちくま」系統になら、あってもよかったですね。
しなの7号
2017/05/12 09:13
高山に住んでいたものです。いつも楽しく拝見しております。
さて、キハ91は小学校の下校時に踏み切りで眺めていました。いつも下からだったので、今回ようやく屋根の状況が分かりとても嬉しかったです。
なお、「のりくら」運転の最終日、写真を撮りに高山駅まで行きました。お手製のマークがいい雰囲気でした。それにしても、画期的な車両だったのですね。もっと見ておくべきだったな。
元沿線住民
2017/05/24 23:52
元沿線住民様 ご覧いただきありがとうございます。
お互いに、よく見ていたつもりの実車であっても違う角度から見れば気付いていなかった特徴があったことを、模型化で知らされますね。「【780】中央西線を走った車両3:キハ91系気動車」の最後の方に書いたのですが、私も高山本線の最終列車を沿線で見送り、そのときは天候が悪化して薄暗くなって夕立の中の最悪のコンディションでした。
私の場合は、そのとき先頭車の貫通扉に黄色っぽいヘッドマーク状のものが見えたのですが、そこに書かれた内容が現場では確認できずにおりました。その後そのヘッドマーク状の紙が貼られたまま多治見機関区に留置され、そこに「ごくろうさん さようなら 91系 1976.9.3 名古屋・高山」とフェルトペンで書かれているのを確認した次第です。
しなの7号
2017/05/25 13:38

コメントする help

ニックネーム
本 文
【794】 キハ91の模型から実車のディテールを知る 昭和の鉄道員ブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる