【335】 名古屋貨物ターミナルと南方貨物線

私が国鉄で列車掛をしていたときの1980年(昭和55年)10月ダイヤ改正で、「名古屋貨物ターミナル」駅が開業しました。
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その駅事務室がある建物は、現在の名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)が国道1号線と交差する場所にある「中島」駅の隣にあります。
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その敷地は中島駅の付近から北へ細長く伸び、名古屋駅寄りに3駅北にある「小本」駅付近まで及び、現在も引き続き名古屋地区のコンテナ基地としてJR貨物が営業しています。下の写真はその現況です。
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名古屋貨物ターミナル駅開業に先立って、笹島駅(現在のささしまライブ駅周辺にあった貨物駅)から、地平に敷設されていた既設の貨物線「西名古屋港線」は並行して建設された高架新線に切り替えられたのでした。そのとき名古屋貨物ターミナルから先は地平のまま営業を続け、手を加えられることはありませんでしたが、予定では名古屋貨物ターミナルを出てから、開業にこぎつけなかった「南方貨物線」が高架線として分岐する予定でした。
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(写真は記念入場券の図柄を一部アップしたものです。)
予定されていた南方貨物線は、南へ向かう西名古屋港線から分岐して東へ向かい東海道本線の笠寺へ出て、現東海道本線に並行して大府に至る貨物別線として、当時90%ほど建設が進んでいました。これが完成すれば名古屋貨物ターミナル駅は、対東京方面との貨物列車が直接乗り入れ可能になるはずでしたが、南方貨物線は開業に至りませんでした。その結果、名古屋貨物ターミナル駅は枝線のようになってしまい、対東京方面との列車は稲沢駅でスイッチバックしてからでなければこの駅には出入りできないのです。未成線になった南方貨物線の用地は売却されたり、部分的に高架橋など設備の撤去は行われていますが、現在でも一部区間には高架橋がそのまま残っているのが見られます。写真は西名古屋港線から分岐直後の南方貨物線予定地に残されている高架橋です。奥にブルーのラインが入った高架橋が見えますが、これは名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)の高架橋です。
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一度も列車が走ることなく放置された設備というのは、廃線跡とも違った「怨念」のようなものを感じます。

しかし南方貨物線用に建設された高架橋の一部は、名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)として旅客開業するときに、不要な部分は取り壊したうえで、利用できる部分は逆に利用されているところがあります。中島駅を過ぎ国道1号線を交差するコンクリート橋もその一つです。もっともここは、すでに国鉄時代から西名古屋港線が使用していました。
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その先、南へ行くと名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)上り線(名古屋方面)の高架橋だけは古い部分があり、これが南方貨物線用の施設だった一部分です。電車に乗っていてはわからないのですが、沿線の高架下を観察するとわかります。この部分は南方貨物線として造られた高架橋に耐震補強を施したうえで、そのまま利用されています。下り線の高架橋だけが新たに造られているのがわかります。
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このあたりが西名古屋港線と南方貨物線が分岐予定だったところです。この地点から南は、一般的な複線用の高架橋が続きます。

ところで、名古屋貨物ターミナル駅では入換作業が名古屋臨海鉄道(名古屋臨海高速鉄道とは別会社の貨物専用鉄道)に委託されていて、今でも国鉄DD13タイプのND55という入換用機関車に会うことができます。
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ND55には車両ごとに複雑な履歴があるらしく、もともと国鉄のDD13そのものである車両もあるやに聞いていますが、そのへんの車両ごとの履歴は調べたことがないので私は存じません。それでもどの車両も、形態やエンジン音などDD13そのもののように思えて、国鉄が身近にあるような気がしてなりません。
また、構内にはコキフの車掌室部分と思しきモノがあって、これも南荒子駅のホームから見ることができます。コキ50000に乗せてみてコキフを再現したくなってしまいます。
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1980年(昭和55年)10月の名古屋貨物ターミナル駅開業当初は非電化でしたが、今は電化され、JR貨物のさまざまな電気機関車が姿を見せますが、DD51も健在です。
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ここは国鉄テイストが味わえるものですから、他に便利な交通機関があるにもかかわらず、わざわざあおなみ線で通勤し、入換の様子を眺めている変なオジサンが現れる貨物駅なのでした。

この記事へのコメント

  • うさお

    しなの7号さん
    こんにちは
    南荒子駅懐かしいです。取引先の倉庫があり、電車に乗ってよく行きました。
    コキフの倉庫もありましたね。
    以前は東北線の川口駅にあったのですが、いつの間にかなくなってしまいました。
    さすがにコキフを転用した駅舎や待合室はないでしょうね。
    2012年12月07日 12:13
  • 北恵那デ2

    実現しなかった南方貨物線は、もったいないの極致だと思いますが、ほかにハイテク満載の武蔵野操車場などそういったものがたくさんありますね。あと車輌でも郵便車のスユ15なんかももったいなかったけれど、なんでこういう無駄なことをするのでしょうか。とにかく南方貨物線の言葉を聞いただけでやたら腹が立ってしょうがないです(笑)。
    2012年12月07日 18:04
  • しなの7号

    うさお様 こんばんは。
    3年前は昼休みの昼食後に、ちょっとこの駅のホームで入換を見て、あおなみ線一駅乗ってすぐ下車し、会社まで歩くと午後の始業でした。
    ところで、コキフの車掌室を利用した駅としては、錦川鉄道の御庄駅があるんです。新幹線の新岩国駅との乗換駅なので一度利用したことがありまして、さすがに1個では小さいので2個くっつけて待合室になっていましたよ。
    2012年12月07日 23:00
  • しなの7号

    北恵那デ2様 こんばんは。
    いや、おっしゃるとおりで、これら無駄遣いのツケは、国民全員に税負担という形で現れているわけですからね。
    先日記事にしたキニ28も同様で、10年も使えなかったのですね。このへんが国鉄の責められるべきところですね。
    2012年12月07日 23:08

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