【937】 列車のトイレと乗務員

ご承知のように、国鉄時代の列車は、いわゆる垂れ流し式のトイレが当たり前でした。少しずつ循環式のタンクを装備して車両基地で処理する方式に改良されつつありましたが、冷房化同様、国鉄分割民営化の時点でも垂れ流し式は残存していました。当然、これは昔から問題となっていて、とくに保線区など施設関係の職場環境問題でもありましたので、組合も改善要求を出していました。画像は大井川鐵道の旧形客車です。利用は制限されていますが、設備的には今もそのまま残っているようですね。
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「臭いものにはフタ」を地で行くようなことですが、国鉄時代からトイレを使用禁止にして施錠していた例がありました。

そこは、私が普通車掌時代に乗務していた岡多線(現愛知環状鉄道の一部)でした。私が乗務していたころは113系が使用されており、クハには一部を除き垂れ流しトイレが装備されていたわけですが、岡崎駅に回送された車両には例外なくサボ交換などを請け負う業託社員の手によって車内トイレのドアを客車カギで施錠されて「使用禁止」の札をドアノブにぶら下げて岡多線内を運用されていました。こうすると便所使用灯が点灯しますので、人為的に使用中の状態にしてしまう結果となるわけです。岡多線は比較的新しい路線でしたから、岡崎駅構内に踏切が1つある以外すべての道路が立体交差で、特に市街地区間のほとんどは高架区間でした。高架区間で上から黄害を撒き散らすのはやめてくれという要望があったのだろうと思われます。施錠しないまでも、車内トイレを使用制限する区間は大都市などにありましたが、それについては来週触れることにします。


画像は愛・地球博開催時に、愛知環状鉄道に入線したJR東海の113系で、このときは、もちろん循環式汚物処理装置を装備していました。
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トイレがあるのに使用できないというのは「辛い時には辛い」ものです。その手の話を以前書いた私ですが、お客さんで、「お願いだからトイレを(>_<)」と頼み込まれて、車掌が開錠してあげたという話は聞いたことがあります。
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しかし車掌が乗務中に腹の調子が悪くなったからといって、自ら開錠して使用禁止区間で黄害を撒き散らすのはどうかと思いますので、さすがにそれはしませんが、岡多線で辛い思いをしたことは一度ありました。

岡崎で昼ご飯を食べてから1時間くらいして乗務した昼過ぎの新豊田行で、発車直後に催し、腹の中がまずい状態になってきました。岡崎~新豊田間は27分。なんとか我慢して終点新豊田に着くや、ドアを開けたと同時に、どのお客さんよりも早くホームから階段を下りて、駅のトイレに駆け込み、事なきを得ました。
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運転士さんの場合は運転席を離れられないのでもっと深刻でしょうけれど、東海道本線の折返しで反対側の運転室へ入ると異常にクサかったことがありました。臭気の元は座席で、その車両はクハ153の低窓車でした。

そのころには、レジ袋が普及してきましたので、その活用法として編み出された?のが、緊急事態に、レジ袋に2つある手の部分を前後に持って股にあてがい、乗務員室内で用を足すというものでした。大も小も受け止められ大変便利と思うわけで、私も常備していましたが、試さなくてはならない状況に陥ったことは幸いにしてありませんでした。けれどレジ袋はいろんな用途に使えるので、今も外出用の鞄に常備しています。穴が開いたら悲惨なので、1枚では不安。複数持ち歩きませう・・・


(注) 今回の画像はすべて国鉄当時の撮影ではありません。







この記事へのコメント

  • NAO

    しなの7号様、こんばんは。
    私は営業鞄のなかにレジ袋を2枚常備(たまに忘れることもあるので準常備?)しています。冷たいドリンクを鞄に入れるとき、水滴が書類に付かないようにレジ袋を重ねて使うのですが、2枚あればそういった用途もあるのですね。ご教示有難うございます(この先、実行には至らないと思います、たぶん)。
    PS もうひと昔前になりますが、関西の鉄道で乗務員が運転室で用を足し、消臭出来ずに折り返し当該編成列車が運休になったニュースがありました。
    2018年12月03日 23:23
  • なはっこ

    トイレに行けないトラックの運転手さんが、止むを得ずペットボトルの中に用を足し、道路脇に捨てていく記事が新聞に出ていました。鉄道も車も、笑うに笑えない話ですね。

    小学校六年秋の日光修学旅行は、153系団体専用列車でした。はしゃいで窓から顔を出すと、雨でもないのに顔に水滴が当たりました。あれは紛れもなく、「流し管からの排水」だったと改めて思い出しました。
    2018年12月03日 23:40
  • TOKYO WEST

    こんばんは。
    私の先輩が車掌時代、どうしても大を我慢できないときがあり、車内電話で運転士に事情を話すと、駅間で異音感知したということにして停車させ、周りから見えない車両下でやったそうです。
    2018年12月03日 23:50
  • しなの7号

    NAO様 こんにちは。
    旅をするとき、または外仕事に出ることが多い人にとって、あると安心なのはレジ袋とともに、半分ほど使ってから芯を抜いて扁平にしたトイレットペーパー。多用途に使えますので乗務のときには新聞紙とともに常備していました。
    運休や遅れの原因を今は詳細にしかも繰り返し駅や車内で放送しますが、事と場合によって一般に公開すべきでないこともあるんじゃないかと思います。
    2018年12月04日 10:23
  • しなの7号

    なはっこ様
    トラックや機関車は人の目からも隔離されるので、いろいろ工夫?する例があるのでしょうね。家の近くの堤防の人目に付かない階段上に、犬のモノとは思えない置き土産があるのを昨年、今年と2度目撃しています。今年の例ではさっそく被害者が出たようで、そういう痕跡が残っていました。
    列車から出る排水はトイレのほかにも冷房とか食堂車、洗面所の排水とかも有り得ると思われますが、なはっこ様の場合は、さて何だったでしょう???
    2018年12月04日 10:24
  • しなの7号

    TOKYO WEST様 こんにちは。
    運転士GJです。車掌も床下の点検お疲れさまでした。
    昔は貨車が隣に留置してあったりして乗客や外部からの死角が多かったですから、折り返し駅でホーム反対側から車両間の連結部分に入っての小用は、やったことがあります。連結状態異常なし! 
    とある本のなかでの話ですが、機関士が機関車に向けて放尿していて車輪の錆びを偶然発見し、よく見たらそこに亀裂があったので申請したら表彰されたそうな。
    2018年12月04日 10:24
  • 中央西線

    昔、地蔵川の橋付近で70系の垂れ流しを目撃したことがあります。
    2018年12月04日 22:45
  • しなの7号

    中央西線様
    その犯人?は私ではありません。
    今はそうでもないですが、70系がいたころ、あの辺りは天気が悪いと臭かったですが、あれは王子製紙のせいでな くそ のせいだったのでせうか?(違・・・・変に間を空けるなって?
    2018年12月05日 21:01
  • 門鉄局

    しなの7号様こんばんは。
    乗務員にとってトイレの問題は永遠の課題ですね。特にラッシュ時で折り返し時間のないときに催したら地獄です。詳細ははばかれるので書きませんが、悲惨な目にあった乗務員は数知れず私もヤバかった事が何度かあります。気の毒なのは無線で代乗要請した途端に架線が停電して全列車が停止してしまった先輩、慰めの言葉が見つかりません。
    松阪市に在住していた頃、駅の北側にある坂内川の橋梁下で夏場は国鉄と近鉄の列車を見たり、魚を捕って遊んだりしていました「おや、にわか雨か…?」と思うことがありましたが、今考えるとあの液体の正体は…。
    2018年12月05日 21:44
  • しなの7号

    門鉄局様 こんにちは。
    生身の人間がする仕事で、衣食より配慮されてしかるべきことがされていない職種は他にも多々あろうかと思いますが、秒単位の仕事ともなればなおさら大変なわけです。そういうことがないよう、乗務員時代は夏でも冷たい飲み物を控えるとか気に掛けていました。牛乳は飲まなくなりました。酒はやれられなかったので冷たいビールより日本酒にしました。不規則な食事時間による胃腸病、便意の我慢→便秘→痔といった消化器系疾患も乗務員の職業病。人として当たり前でない仕事をしていると、当たり前の日常のありがたさが身に沁みますが、そういう気持ちは大切にしたいです。乗務員も含め、これまでやった仕事の特殊性から得た思いです。

    列車が高速になると放出される水滴は霧状になりますから、沿線住民や鉄道施設従事者、最後部の車掌などは知らず知らずのうちに日常的にたくさん吸い込んでいたんじゃないでしょうか。
    2018年12月06日 14:28
  • 鉄子おばさん

    お疲れ様です。ご無沙汰しておりましたが変形性膝関節症と闘いながら仕事をしております。スタッフの出入りも頻繁なので新人指導も忙しいです。トイレに行きたい時に行けないのは過酷だとおもいます。笑い事ではないですね。仕事中はコーヒーを飲まない運転士さんもいらっしゃるみたいですね。鉄道談義をする運転士さんがホームで寒がっておられたのでコーヒーのボトル缶を渡して手をあたためてもらったのですがさしあげる事はしませんでした。タイミング悪くトイレに行きたくなっては困りますからね…
    2018年12月08日 10:51
  • しなの7号

    鉄子おばさん様 こんにちは。
    どのような仕事であっても、いったん病気やケガによって当たり前にできていることができなくなると、健康のありがたさがわかりますね。特殊な勤務や生活環境にのなかにいるときも、一般的な暮らしができることのありがたさが身に沁みます。
    今はどうなのか知りませんが寒い乗務員室に長時間いるような職場環境も私の在職中には普通にありましたから、乗務員は体力強靭でないと勤まらないと思ったものです。
    2018年12月08日 13:49

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